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☑子育て支援センター、小学校での絵本読み聞かせ経験あり
8月6日は広島平和記念日
今日から78年前、1945年8月6日午前8時15分に米軍のB29爆撃機エノラ・ゲイによって、広島市上空で世界初の原子爆弾が投下されました。
終戦後、日本は目まぐるしい復興を遂げ、現在ではものも情報も溢れる豊かな時代になりました。
今も毎日、世界のどこかで起こっている戦争。わたしたちはどこか他人事のように過ごしてきたかもしれません。
しかし、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻によって、改めて戦争と平和について考えるようになった人も少なくないのではないでしょうか。
広島平和記念日の今日、親子で戦争と平和について考えるきっかけになる絵本をご紹介します。とても繊細なテーマだからこそ、慎重に選びたい方の参考になれば幸いです。
※著作権保護の観点から表紙写真を商品リンクに置き換えてご紹介します
絵本ナビ 子どもに絵本を選ぶなら親子で戦争と平和について考えるきっかけになる絵本5選
子どもたちは、戦争や危機についてのニュースや話を見聞きすることで過度に不安や恐怖といった感情を抱くことがあります。いきなり子どもに戦争の話をするのは不安、という方は、心理の専門家とともにまとめられたセーブ・ザ・チルドレンのこちらを参考にしてみてください。
▶専門家がすすめる、子どもと戦争について話すときの5つのポイント
ドームがたり
「どうも、はじめまして。ぼくの名前は「ドーム」。あいにきてくれて、ありがとう」──1915年にできた「広島物産陳列館」は、100年以上も広島を、世界を見てきた。ドームとは何なのか、何を語りかけているのか。原爆ドームの声をきけ! アーサー・ビナードによるドームの語りと、スズキコージの絵が、未来へ記憶をつなぐ。
引用:玉川大学出版部HP 内容説明
擬人化された原爆ドームの語り。
戦争そのものの話というより、原爆ドームが広島県物産陳列館だったころの活気から被災後の不気味さ、すでに終わった遠い過去の出来事ではないことをわたしたちに問いかけてくれる絵本です。
へいわとせんそう
「へいわのボク」と「せんそうのボク」では、なにが変わるのだろう。同じ人やもの、場所を見開きごとに比べると違いが見えてくる。いま、子どもにも大人にも伝えたいメッセージ。
引用:ブロンズ新社HP
「へいわの〇〇」と「せんそうの〇〇」
大人と子ども、子どもでも年齢によって捉え方が全く違うのではないかと思う1冊。シンプルだからこそ、読者に考える余白を十分に与えてくれています。
ぼくがラーメンたべてるとき
ぼくがラーメンたべてるとき、地球の裏側でなにがおこってる?
世界の子はなにしてる?
遊んでる、働いてる、倒れてる…。
長谷川義史が世界の子たちへ平和への願いをこめました。
引用:子どもの本と紙芝居 教育画劇
今、わたしと同じ時間を世界中で生きている人たち。同じ地球に生まれたのに、まったく違う生き方をしている。「だからどう」ということではなく、ただ突きつけられる現実。その深さを理解するには、小学校低学年くらいまでの子は難しいかもしれない。
しかし説明は不要。わが子ももう少し大きくなったら一緒に語ってみたいです。
おひさまとおつきさまのけんか
ある日、けんかをしたおひさまと、おつきさま。ふたりの仲はどんどんわるくなあり・・・。戦争について、ストレートに問いかける絵本。
引用:ポプラ社HP
おばけ絵本で有名なせなけいこが、子どもたちにストレートに戦争を問いかける絵本。
「戦争ってどういうこと?」を子どもたちに伝えるのに分かりやすい一冊であり、大きいお子さんにも、大人にも読んで欲しい一冊。
かわいそうなぞう
戦争中、上野動物園で三頭のゾウが殺されました。これは本当にあった悲しいお話をもとにした名作絵本です。
毎年終戦記念日に評論家の秋山ちえ子氏が平和への願いをこめてラジオで朗読し、テレビでも紹介されました。
引用:金の星社HP
1970年発行、50年以上語り継がれる定番絵本。第二次世界大戦中の出来事をもとに作られています。動物園に爆弾が落ちたら大変なことになる。猛獣たちが外に暴れださないよう毒物を飲ませて殺しました。例外でなかった三頭のゾウのお話。
飼育員さんの葛藤とともに、身近な動物のエピソードが子どもたちにとって戦争を身近に感じさせてくれるでしょう。
“戦争=怖い”で終わらない大人のかかわり
広島県に生まれたわたし。わたしにとって、幼少期の夏は戦争について考える機会がたくさんあった記憶があります。
保育園のころには「おこりじぞう」を先生に読んでもらってトラウマになり、小学校では8月6日は全校登校日で、戦争を題材にした映画を見、被災者のお話を聞く機会も何度かありました。当時、終戦50年というタイミングでした。
最近では、広島県が市立小学生向けの平和教材としていた「はだしのゲン」を削除し別のものに差し替えたことが話題になりました。
参考:東京新聞 TOKYO Web「はだしのゲン」の何が問題視されたのか 広島市教委の平和学習教材から外された理由
当時子ども時代を過ごした大人こそ「戦争=悲惨、怖い」というイメージをもっているのではないでしょうか。今考えてみると、当時の絵本は戦争の悲惨さを伝えるものが多かったように感じます。
平和であることへの意識
わたし自身、当時の経験があったことはとても良かったと思っています。
しかし、今の子どもたちにも全く同じようにするべき!と、声を大にして言い難いのも正直なところ。
もちろん、過去にあった事実を知ることは大切です。しかし今を生きるわたしたちにとってもっと大切なことは、そこから何を思うか。一度足を止めて、家族がいて、お友達がいて、また明日が来る日常に意識を向ける。それにはわたしたち大人の役割がとても大きいように感じます。
戦争に関する絵本を読み聞かせるときのポイント
今回は小さなお子さんにも読みやすい絵本を選んでいますが、記事のはじめにご紹介したように、絵本とはいえ内容によっては繊細な子どもたちの心に思わぬショックを与えてしまう可能性が否定できません。
お子さんに読む前に、まずは大人が手にとって読んでみてください。そして読み聞かせをするときは、お子さんの様子を見ながら、無理をせず、読み終わった後には一緒に話をしたり触れ合ったりする時間を取ってあげてくださいね。
さいごに
今日は、お子さんと戦争と平和について考えるきっかけになる絵本を5つ紹介しました。
- ドームがたり
- へいわとせんそう
- ぼくがラーメンたべてるとき
- おひさまとおつきさまのけんか
- かわいそうなゾウ
繊細なテーマの時は、お子さんの様子を最優先にしてあげてください。
過去の悲惨な出来事がそれだけで終わるのではなく、絵本の読み聞かせを通して今ある幸せに気づき、これからもその幸せが続くためのそれぞれの思いを分かち合う時間に繋がればいいなと思います。